【これで決まり!】TOEICと弁理士-傾向と対策

前回の記事では弁理士と英語に関する記事を紹介しました。弁理士業務のグローバル化に伴い現在の弁理士業務では英語能力が必須であることを述べました。

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今回の記事では、弁理士とTOEICについての記事を書いてみようと思います。

目次

TOEICの傾向

TOEICとは、世界中で実施されている国際コミュニケーション英語能力テストのことであり、今更説明する必要がないほど超有名な英語能力に関するテストとなります。

TOEICテストには、リスニング&リーディングテストとスピーキング&ライティングテストの2種類がありますが、今回はTOEICリスニング&リーディングテストについてのみ説明します。

国別ごとのTOEICスコア

2018年度における国別ごとのTOEICスコアの結果によれば、日本のTOEICの平均スコアは、合計で520点(リスニング290点、リーディング229点)となっております。また、日本の平均スコアの国別順位は、49カ国のうち44位となっております。

ちなみに、日本弁理士が内外業務や外内業務で関係する母国語が英語ではない国として、ドイツ、フランス、韓国、中国、台湾、インド等が挙げられますが、それぞれの国の平均スコアと国別順位は以下となります。

  • ドイツ  平均スコア:796点 3位
  • フランス 平均スコア:724点 8位
  • 韓国   平均スコア:673点 18位
  • インド  平均スコア:609点 31位
  • 中国   平均スコア:578点 36位
  • 台湾   平均スコア:554点 40位
  • 日本   平均スコア:520点 44位

 このように日本弁理士と仕事上で関わりがある ドイツ、フランス、韓国、中国、台湾、インド の全ての国の平均スコアが日本よりも上となっています。また、欧州の雄であるドイツの平均スコアが高い点、韓国が意外と健闘している点(これは熾烈な受験戦争や就活戦争に因果関係がありそうです。)、インドのスコアが意外と低い点、中国、台湾は日本とあまり差がない点が把握できます。特に、日本の平均TOEICスコアは580点といったデータもありますので、日本、中国、台湾の英語レベルはほぼ同等と考えてもよいかと思います。

日本のTOEICスコアの分布

次に日本におけるTOEICスコアの分布は以下となります。

TOEIC® Listening & Reading Test 公式データ・資料より引用

上記分布によれば、TOEICスコア895点以上は受験者全体の1.4%以内となっています。また、TOEICスコアが795点以上は受験者全体の5%以内となっています。また、300点から500点の間のTOEICスコアがボリュームゾーンとなっています。このボリュームゾーンには、高校生や大学生等の学生受験者が多数含まれているものと推定されます。受験者中間層のTOEICスコアが300点から500点の間にあると考えてもよさそうです。

グローバル弁理士が目標とすべきTOEICスコアの目安は、受験者全体の上位5%以内である795点以上(つまり、ドイツ人の平均TOEICスコア程度以上)といえるのではないでしょうか。

TOEICスコアの職種別傾向

次にTOEICスコアの職種別傾向について見ていきます。

TOEIC® Listening & Reading Test 公式データ・資料より引用

上記職種別スコア分布によれば、海外部門のスコアが突出して高いことがわかります(これは当然の結果であるともいえます)。次に、法務部門のスコアが高いことがわかります。昨今の日本企業のグローバル化を考えれば、知的財産関連部門を含めた法務部門に高い英語力が求められていることが理解できます。

一方で、発明者が属する技術、製造、研究部門のスコアが芳しくないことが分かります。一般的に理系出身の技術者は、仕事上海外の特許公報や論文を読む機会が多い一方で、英語が苦手な方が多いような気がします。

また、発明者は、日本の明細書ドラフトについての技術的な細かいチェックをできる一方で、英文明細書ドラフトについては、英語に苦手意識があるため、細かいチェック(英文クレームの微妙なニュアンス等のチェック)をできていないように思われます。

このように、発明を生み出す発明者側は英語が苦手な傾向にある一方で、法務部門には高い英語力が求められていることがわかります

私見ですが、一般的に国内業務よりは内外業務(外国出願業務)の方が仕事がやりやすいように思われます。これは顧客側の知財担当者や発明者が英語を苦手にしていればしている程、当てはまる傾向があります。

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TOEICの対策

TOEICの対策について以下に簡単に紹介します。TOEICには、リスニングセクションから100問、リーディングセクションから100問出題されます。リスニングセクションは、パート1-4の4つのパートから構成されます。リーディングセクションは、パート5-7の3つのパートから構成されます。

筆者の経験上、以下の2つを守ることでTOEICスコアに向上する可能性があります。ちなみに、この2つを守ることで筆者のTOEICスコアは劇的に上がりました。

リスニングセクション

一番重要な点は音声に集中することであって、決して問題文を先読みしないことです。筆者は、以前リスニングセクションのうちパート3,4では、問題文と選択肢を先読みしていたのですが、これは大きな間違いです。

先読みをしようとすると音声内容に全く集中することができないため、結局のところ音声会話の内容がわからなくなってしまうのです。さらに、問題文と選択肢を先読みしたところで一瞬で忘れてしまうのですね。

挙句の果てには、先読みしている間で音声が流れてくるのでパニック状態に陥ってしまいます。また、前の問題の解答に躓いてしまうと、次の問題の先読みができなくなってしまい完全にリズムが狂ってしまいます。これが負の連鎖となり散々な結果となります。

断言します。リスニングセクションでは先読みは逆効果となる可能性があります。音声前に問題文を簡単に見ることはOKですが、問題文と選択肢の両方を覚えることはやめましょう。

さらに、パート3では、音声内容の一番最初を聞き取れるかどうかが一番肝要となります。したがいまして、リスニングセクションでは先読みはなるべくしないで、とにかく音声内容を全力で傾聴することが何よりも重要となります

さらに、前の問題が解けなかったとしてもそのことを決して引き摺らないことが何よりも肝要となります。

リーディングセクション

リーディングセクションでは、パート5-7に進むにつれて問題の難易度が高くなっていきます。また、リーディングセクションはとにかく時間に対しての問題量が多いため時間内に全ての問題を解くのが至難の業となります。また、パート7の後半の長文問題では、1つの記事等に対して5問の問題が出題されるのです。

ここで、時間内にリーディングセクションの全ての問題を解答するために、後半のパート7のリーディングセクションから始めるのはNGとなります。TOEICのリーディングセクションでは900点以上のスコアを有する実力者でない限り全ての問題は解けないと自覚することが重要なのです。

つまり、リーディングセクションでは順番通りにパート5から順番に問題を解くことが肝要となります。パート5,6はパート7に比べて比較的難易度は高くないため、このパートをなるべく短時間で解答することができるかどうかがパート7の取りこぼしを少なくするための鍵となります。

しかしながら、焦るあまりパート5,6を疎かにするのは本末転倒ですので、パート7は全ての問題には解答できない(例えば、最後の5問は解けないかもしれない)と最初から割り切って考えた方が結果としてスコアが上がるのです。

TOEIC対策のまとめ

結局のところTOEICスコアを上げるための攻略法や近道はないと個人的には思われます。

TOEICテストは自分の現時点での英語のリスニングとリーディング能力を図るテストですので、正攻法でテストに臨んだ方が結局はスコアが向上するのです。

TOEICのリスニングでは実際のネイティブとの会話に比較して英語音声がゆっくり且つ明確ですので、TOEICスコアを上げるためにはリスニングの内容を完璧に聞き取れるレベルまで自分のリスニング能力を上げることが何よりも肝要となります。

結局は、英語力を向上させることでしかTOEICスコアは伸びないと考えた方が良いのかなと思っています。

TOEIC公式テストのWEBサイト上でサンプル問題がありますので、是非挑戦してみてください。

英語力を向上させる手法

TOEICスコアを伸ばすには結局のところ英語力を向上させることが近道なのですが、どうしたら英語力を効率的に向上させることができるのでしょうか?その手法について筆者の手法を以下にご紹介します。

リスニングセクションにおける対策法

結論から言うと、リスニング能力を強化させるベストな方法は、Youtube動画やTEDを活用することです。

TOEICの公式問題集のリスニング問題を何回もひたすら解くのも一つの手ではあるのですが、満員の通勤電車中でリスニング問題を復習する場合には単に英語を聞き流すだけとなってしまいますよね?英語を聞き流すだけですとあんまり大きな効果は望めません。

リスニング力を強化するには、音声を聞きながら字幕を見ないと十分なリスニング力の向上は望めないというのが私の見解です。単に英語を聞き流したとしても音声内容の単語一つ一つを明確に聞き取れなければ学習の効果は薄いと思います。また、既に音声の内容を十分に聞き取れる程度の問題を聞いているであれば、リスニング能力の維持は可能であるとしてもリスニング能力の更なる向上は望めないと思います。

また、英語字幕を表示しながらハリウッド映画を見るのも一手かと思います。特に、十分な視聴時間を確保できる方ならば英語字幕を表示しながらハリウッド英語を見るのはリスニング能力向上の有効な手段になるかと思います。しかしながら、十分な視聴時間を確保できない方によってはこの手法は有効な手段ではないかもしれません。

一方で、Youtube動画やTEDであれば、一つの動画の視聴時間が20分以内に収まることが大半ですので通勤時間中にリスニングの勉強が可能となります。例えば、Hapa英会話等のYoutubeチャンネルを個人的にはおススメします。また、バイリンガール英会話 | Bilingirl ChikaさんのYoutubeチャンネルも個人的にはとてもおススメです。

Youtuberさんは日本語が話せると共に、日本人の苦手な英語表現をとてもよく理解しているので、日本人の陥りがちな英会話のウィークポイントを丁寧に解説してくれます。これが無料で利用できるですから驚きです。

Hapa英会話

TEDについてもYoutubeと同様にPC上でもスマートフォン上でも視聴が可能となります。

TED スマホアプリ画面

また、仕事上でネイティブスピーカの方と頻繁に会話するチャンスがあれば、動画を通じて新たに学んだ英語表現を積極的にアウトプットすることが重要ですね。ネイティブスピーカの方と会話する機会がない場合には、自分の語りたいことを英語で呟くこと(一人英会話)も十分な効果があると思います。インプットだけでなくたまには学習したことをアウトプットすることが英語学習で大切かと思います

内外業務や外内業務を主に担当する弁理士であれば、特許業界で頻繁に使用される英語(describe, amend, based on, correspond等)には強くなるものの、日常会話の英語レベルはなかなか上達しないものです(実際に私がそうでした)。

従いまして、TOEICのリスニング対策としてこれらのYoutube動画を活用することで根本的な英会話能力が向上すると共に、TOEICのリスニングスコアも向上することが期待できます。何度も言いますが、インプット学習では英語字幕付きで音声を何度も聞くことが肝要となりますさらに、覚えた英語表現をアウトプットすることで新しいフレーズが自然と口に出るようになります。

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リーディングセクションにおける対策法

リーディングセクションでは、普段から英文記事をスマートフォン上で読むことが近道かと思います。最近のTOEICのリーディングセクションでは、デジタル時代に応じた形でWEBサイト、Eメール、インスタントメッセンジャー等の問題文が多くなってきています。

インターネット上にはTOEICのリーディングセクションの教材になるような英文記事が溢れています。個人的には、情報のアービトラージを常に考えていますので、最近のテック業界のニュースについては英語版のTech Crunch等で情報収集をしつつ、世界的な金融情報についてはUSのYahoo Financeを常にチェックしています。

また、世界的な特許情報についても、現地代理人からの最新知財情報に関するダイレクトメールやIAMやManaging Intellectual Property等のWEBサイトをチェックすることでリーディング能力の向上を図ることができます。

一方で、内外業務や外内業務だけでは十分なリーディング能力の向上は期待できないと私は考えています。勿論、最初のうちは和文翻訳や英文翻訳を通じてライティング能力やリーディング能力の向上を図ることができますが、何年も同じ業務を繰り返すうちにリーディング能力の向上にも限界が訪れます(これは特許専門用語の英語については精通するものの、当該専門用語以外の領域における英文リーディング能力については向上しないためです)。

ですから、普段の弁理士業務に関連しない英文記事(経済動向や技術動向についての記事)を情報収集の一環として読む習慣をつけることが肝要かと思います。

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まとめ

弁理士業務にとって英語能力は益々重要となっています。英語能力を向上させることで弁理士の活躍の場はグローバルに広がりますし、内外業務や外内業務を得意分野とすることで弁理士の収入を飛躍的に向上させることも可能となります。

勿論、弁理士にとっては明細書作成能力が一番に重要であることは変わりありませんが、事務所経営を考えた場合、国内業務だけをやっていては将来的なビジネスの進展の見込みがないのです。やはり、国内業務(発明発掘・明細書作成)→内外業務(各国に外国出願)→外内業務の獲得の流れが事務所経営上では大事なのです。

明治維新以降の歴史を紐解いても英語ができる人材が常に日本政府において重宝されてきました。今の時代でも英語ができる人材はグローバル企業では重宝されています(勿論、英語+αのスキルがある人材であることが前提です)。

知的財産業務のスペシャリストである弁理士が英語を武器にしてグローバルに活躍することが今まさに求められています。例えば、基礎となる日本出願明細書を作成せずに、最初から米国出願用の英文明細書を作成することや英文PCT明細書を作成することが今後想定されるのです(既にそうした業務が要求されつつあります)。

最後に、グローバル化する弁理士にとってTOEICスコアが英語能力のエビデンスとして今後も重要であることは言うまでもありません。

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以下は、最近受けたTOEICテストの結果報告に関する記事となります。

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