【必見!】アラインテクノロジー(Align Technology Inc.)社の株価-驚愕の成長を続けるディスラプター

目次

アラインテクノロジー社の株価推移

 以前の記事でも投稿しましたが、 アラインテクノロジー社は、2001年にナスダックに株価18ドルで上場した後に2002年には株価は一時2ドルまで下落しました。

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その後、最高経営責任者が Thomas Prescott氏に交代し、経営資源を北米市場に集中することで、2003年に初めて黒字決算を達成しました。

このときから株価は再度上昇しました。しかし、米国発の世界金融危機(通常、リーマンショック)の際(2009年)に株価は5ドル付近まで下落しました。

その後の金融緩和の政策に伴い、株価は再び上昇し、さらに2017年以降株価は急激に上昇を始め、一時400ドル付近まで上昇しました。しかし、2018年の年末の下落で株価は一時200ドルを割れました。現在(2019/6/15 時点)の株価は300ドル付近となっています。

アラインテクノロジー社の株価は、金融危機当時(2009年)の底値5ドルから比較すると、実に150倍の上昇を記録しております。10年で株価が150倍です。年率65%の驚異的な株価上昇率となります

このように、アラインテクノロジー社の株はナスダックのグロース株銘柄の中で常に投資家の注目の的となっております。

アラインテクノロジー社の株価推移 yahoo fianceより引用

アラインテクノロジーの株価指標(valuation)

2019年6月15日時点 でのAlign Technology (ALGN) 社の株価指標は以下となります(yahoo financeより引用)

  • 時価総額:約240億ドル(≒2兆6000億 @108.5 USD/JPY)
  • EPS:4.64
  • PER:65.86
  • 予想PER:42.76
  • PBR:19.48
  • 配当:0%

予想EPSは以下となります。

予想EPS Nasdaqより引用

予想PERは以下となります。

予想PER(Nasdaqより引用

アラインテクノロジー社の業績推移

直近の会社の収益

直近4年の会社の収益は以下となります。収益は右肩上がりですね。

アラインテクノロジー社の業績 yahoo fianceより引用

ビジネスの実績

次に、アラインテクノロジー社のビジネスの実績(累積値)は以下となります。

アラインテクノロジー社のWEBサイトから引用
  • トータルでのアライナーの出荷数:5億4500万個
  • インビザライン治療の訓練を受けた歯科医の人数:156092人
  • トータルの患者数:680万
  • 一日に生産されるアライナーの個数:41万個
  • 現時点でのインビザライン専門医の人数:81626人
  • 特許件数:894件(米国特許:452件 米国外特許:442件)

上記で特に注目すべき点は、現時点までの患者数が累計680万人いる点と、発行された特許の件数がグローバルで894件という点ですね。

インビザラインのマーケットシェア

インビザラインの矯正歯科マーケットにおけるシェアは以下となります。

アラインテクノロジー社のWEBサイトから引用

成人の歯科矯正市場において、インビザラインは既に約43%のマーケットシェアを獲得しているようです。これは、私もそうですが従来のワイヤ矯正は非常に目立つため、見た目が目立たないインビザラインが人気になっているものと推測されます。

一方、10代の歯科矯正市場においては、インビザラインのマーケットシェアは未だ6.7%です。10代の歯科矯正ですと、矯正治療の費用は親が負担することが殆どですので、親の意向が大きく反映しているものと思われます。また、インビザライン治療では患者の自己管理能力(20時間以上の装着)が求められますので、10代の普及率は成人の普及率よりも低いと推測されます。

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売上の構成

アラインテクノロジー社の売上の構成と海外販売比率は以下となります。

アラインテクノロジー社のWEBサイトから引用

全体の販売のうち、クリアアライナーの販売比率が80%となっております。
米国国内の販売比率が60%、海外での販売比率が40%となります。

まとめ

インビザラインの急激な世界的普及に伴い、アラインテクノロジー社の株価がこの10年で驚愕の150倍となっていることがわかりました。まさに、この会社は、ワイヤー矯正が主流の歯列矯正という業界にインビザライン(クリアアライナー)といった破壊的技術を導入したディスラプター(創造的破壊者)となったわけです。

また、この新たな破壊的技術を大量の特許出願ポートフォリオによって保護することで、実質的に他社による新規参入を阻止し、クリアアライナー市場を独占することができたのです。

昨今、知財業界においても、AI, IoT, BD(Big Data)等を利用した第4次産業革命の進展に伴い、標準必須特許(SEP)の取得やブルーオーシャン戦略に基づいた特許ポートフォリオの構築が声高に叫ばれております。

さらに、日本では、GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)やBAT(Baidu, Alibaba, Tencent)等の巨大IT企業が生まれなかったことに対する反省から、昨今では、デジタルファースト時代におけるディスラプターとなるべくスタートアップ企業の育成が大きな課題となっています。

この点において、現在、特許庁ではスタートアップの特許出願支援を行うために新たな取り組みを開始しております。さらに、政府は、スタートアップ企業の数を倍増させるための拠点都市の選定等の計画をしているようです。

詳しい話は今後の記事で言及する予定です。

一方で、20年前においてシリコンバレーのスタートアップ企業であったアラインテクノロジー社は、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資金を基に、 破壊的技術であるインビザラインに係る発明を対象とした大量の国内並びに外国出願を行っているのです。このブルーオーシャン戦略に基づく特許網の構築ができたからこそ、今のアラインテクノロジー社の大成功があるのです。

テック系スタートアップ企業(特に、ディスラプター)にとって、知的財産戦略(特に、特許出願戦略)は非常に重要であり、特許こそが企業の競争力の源泉なのです。

このアラインテクノロジー社の躍進は、今後の日本のスタートアップ企業にとっても非常に参考になるのではないでしょうか?

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インビザラインに関連する特許についての記事も参考ください。

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【日本と米国】インビザラインに関連する特許-アラインテクノロジー社の特許分析  前回の記事でアラインテクノロジー社が保有する特許件数について簡単に紹介しました。 https://globalbenrishi.com/align-technology-stock-analysis/ おさらいします...

また、今後のアライン社の業績を予測する上で、以下の2つの要因が鍵となりそうです。

  • インビザライン市場の拡大(ワイヤー矯正がインビザラインに置換)
    特に、現在のインビザラインは叢生等の複雑な歯列の矯正にも対応可能であるため、歯科矯正市場においてインビザラインのシェアは今後益々拡大するものと考えられます。特に、中国や日本を含む東アジア圏での市場の拡大が見込まれそうです。
  • インビザラインの特許満了に伴う新規参入組の増大
    基本特許は消滅したといえ、インビザラインのブランド力(商標の信用力)は存在し続けます。特に、インビザライン認定医やインビザライン治療の養成所といった存在も大きいかと思います。このため、スタートアップ企業にある程度シェアを奪われるものの、アライン社のクリアアライナー業界における地位は揺るがないものと考えられます。
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