こんにちは。庶民派、ロスジェネ世代のアラフォー弁理士です。
ここ最近更新のペースが鈍っています。なかなかブログを続けるのは難しいなぁと実感しています。
以前の記事で住宅購入が資産形成の近道となることを紹介した記事を書きました。結局は、住宅購入も不動産投資の一部ですので、実質利回りやインフレ率を考慮することが必要なのですね。
今回は資産形成シリーズの続きとなる記事です。
ズバリ、車の購入と維持がどれほどの家計の負担となっているのかをデータを示しつつ簡単に説明していきます。というのも私も10年前に新車を購入しておりまして、そろそろ車の買い替えの時期に来ています。消費税増税も間近に迫りましたので車の買い替えタイミングを現在検討しているのですね。
しかしながら、車に関連する費用を検討したのですが長期的には想像を超える費用がかかっていました。
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車の年間の維持費
車の年間の維持費を試算したところ、以下の費用が最低限年間に発生していました。
- 年間の駐車場代:24万円(2万円×12)
- 年間の車検代:7.5万円(2年間に1度15万円相当の出費)
- 年間の自動車税:3.5万円(1500cc以下)
- 年間のガソリン代:8.6万円
- 年間の自動車保険料:6万円
合計:約50万円
尚、年間のガソリン代金は以下の式より試算しました。
尚、上記の維持費は、高速道路代、目的地の駐車場代、車の修理代や冬タイヤ関連の費用、自動車ローン金利等を含んでいません。ですので、少なく見積もって年間50万円程の車関連費用が発生しているのですね。
新車購入から10年間に発生する費用総額
次に、新車を購入してから10年の間に発生する車関連費用の総額について以下に検討します。
最初に、ここ10年の間に車両本体価格も値上がりしました。
例えば、トヨタの代表車の一つであるカローラフィールダーは10年前ぐらいには車両本体、オプション、税金等の諸経費を含めて200万円台前半で購入できました。
現在、新型カローラツーリングを購入する場合には中間グレードでも総額300万円くらいはかかります。同車両のハイブリッドモデル上位グレードですと総額350万円以上はかかるのですね。また、軽自動車であっても新車乗り出し価格で総額200万円程度はかかります。
以下に車両価格ごとの10年間に発生する費用総額、年間費用、月間費用、1回使用費用についてのテーブルを示します。 ここで、車両価格とは車両本体価格ではなく、オプションや税金等を含めた車両乗り出し価格とします。
1回使用費用については、月に車を6回使用することを前提としています。また、車の年間維持費は新車購入時から当初3年間は車検がないことから48.5万円としています。
次に、車両価格ごとの月額費用についてのグラフを以下に示します。
上記より、乗り出し価格が300万円クラスの車両(例えば、カローラツーリングのガソリン中間グレード)を購入した場合には、月額約65000円程の費用がかかるのですね。また、乗り出し価格が500万円クラスの車両(例えば、ハリアーの上位グレード)を購入した場合には、月額約82000円程の費用がかかります。
乗り出し価格500万円程の車両であれば10年間に最低1000万円程の費用はかかるのです。また、車両本体価格がゼロであっても維持費として月に4万円相当はかかります。
費用感覚としては、如何でしょうか?
マイホームと同じくらいの費用が車にもかかるのですね。
さらに、前回の記事でもご紹介したようにマイホームは状況に応じてキャピタルゲインとインカムゲインを生む資産となる一方で、車両は必ず資産価値が下落する不良資産なのです。
さらに、クルマは、高い利便性やユーザエクスペリエンス(UX)を所有者に与える一方、基本的にはインカムゲインを生む資産ではないのですね(最近、個人の所有する車両を活用したシェアリングビジネスの動きもありますが・・・)。
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新車の資産価値
新車の資産価値は、年数の経過に伴い下落することが一般的です。
例えば、年間の車両本体(税抜き)の価値は年間30%程度下落するとも言われています。
一方で、3年後の車両本体の価値の下落率は40%から55%の範囲内であると共に、5年後の車両本体の価値の下落率は30%から45%の範囲内であるとも言われているようです。
このような事情に鑑みて、人気車種の年間の車両価値の下落率を18%、不人気車種の年間の車両価値の下落率を25%とした上で、年数経過ごとの車両本体価格(税抜き)410万円の新車の資産価値の変化を以下に示します。
下落率が18%の場合(人気車種の場合)、三年経過後の車両価値は226万円(残存価値55%)となります。下落率が25%の場合(不人気車種の場合)、三年経過後の車両価値は173万円(残存価値42%)となります。
また、価値下落率は一定であるものの、年数の経過に従い価値下落幅は小さくなります。このため、新車よりも中古車を購入したほうが資産価値下落幅を抑えることが可能となるのです。
このように、貨幣価値の変動(インフレ率等)に伴い資産価値が変動する不動産とは異なり、クルマは基本的には年数経過に応じて資産価値が大きく下落するものとなります(希少価値がある高級車等の例外は勿論ありますが)。
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30年間車を所有した場合のトータルコスト
次に、30年間車を所有した場合のトータルコストについて考えます。
前提条件として、三年ごとに新車(人気車種)に乗り換えた場合を想定します。
乗り出し価格500万円の車両を三年ごとに乗り換えた場合と、乗り出し価格300万円の車両を三年ごとに乗り換えた場合とを想定します。三年ごとに乗り換えるという設定は車検を通さずに、新車に乗り換えるオーナーが世の中には相当数いるからです。現にクルマ好きの私の親戚も三年ごとに新車に乗り換えたりしていました。
車両乗り出し価格500万円の内訳
車両本体価格450万円(税込み)+諸経費&オプション50万円(車両本体価格(税抜き)は410万円)。
車両乗り出し価格300万円の内訳
車両本体価格250万円(税込み)+諸経費&オプション50万円(車両本体価格(税抜き)は227万円)。
また、年間の車両維持費は、車検代が含まれないため、42.5万円とします。
以下グラフが、30年間の車両に関連するトータルコストとなります。
乗り出し価格500万円(車両本体価格410万円)の車両を三年ごとに乗り換えた場合、30年間でのトータルコストは驚愕の約4000万円となりました。また、乗り出し価格300万円(車両本体価格227万円)の車両を三年ごとに乗り換えた場合には、30年間のトータルコストは約3000万円となりました。
これは三年後の残存車両価値が55%となる人気車種(年間の車両価値の下落率18%)の場合です。
4000万円という数字は都心郊外の3LDKの新築マンション価格に相当するものです。
車検を通さずに三年ごとに車両を下取りに出して新車に乗り換えるととんでもなく損をするのですね。
一体何故こんなに損をしてしまうのでしょうか?
一番の理由は新車購入時における税金等の諸経費を三年ごとに支払う必要があること、新車から三年後の価値下落幅が大きいことが挙げられます。
次に、同条件で10年ごとに新車に乗り換えた場合のトータルコストは以下となります。
乗り出し価格500万円(車両本体価格410万円)の車両を10年ごとに乗り換えた場合、30年間でのトータルコストは約2700万円となりました。また、乗り出し価格300万円(車両本体価格227万円)の車両を10年ごとに乗り換えた場合には、30年間のトータルコストは約2200万円となりました。
如何でしょうか?
先ほどと比較すると、乗り出し価格500万円の場合には、1300万円もトータルコストが低くなりました。また、乗り出し価格300万円の場合には、800万円もトータルコストが低くなりました。
新車は長く乗り続けた方が資産形成の観点からは正しいのです。例えば、高級車を購入したいのであれば長く乗り続けることで損失を抑えることが可能となります。
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まとめ
このように、車両の下取り価格が高いという理由や車検代が勿体無いからといって三年ごとに新車を買い替えるととんでもなく損をするのです。
一方、車両を三年ごとに買い替えることで得をするのは誰でしょうか?
答えは、自動車メーカと自動車関連会社となります。
自動車産業は日本の基幹産業となりますので、自動車販売の売れ行きは日本経済にとっても超重要事項となります。このように、自動車を三年ごとに買い替えることで大きな個人消費が生まれ経済活動が活性化されるのですね。
また、三年ごとにクルマの買い替えが生じやすくなるように、新車購入から次回車検までは2年ではなく3年に設定されているとも考えられるのです。
クルマは30年の長期期間で捉えると非常に高額な買い物となります。
今の若者はクルマを購入しなくなったと言われていますが、大量の情報にアクセスできる現代社会ではクルマが資産形成においてマイナスに働くということは現代の若者は十分に認識しているものと思います。
要は今の若者の消費行動が非常に賢くなっているのですね。勿論、今の我々が十分な労働対価を会社から得ていないといった現実もあるのかもしれませんが。
例えば、30年間クルマを所有していなければ4000万円とまではいかなくても3000万円くらい投資資金を得ることができ、その投資資金を米国の医療機器関連株やVTI等のETFに投資していれば億単位の資産形成も可能だったのです。
勿論、資産形成は手段であって人生の目的ではありません。クルマによって得られる人生のメリットや潤いに比べればそこまで高い投資金額ではないとも言えます。
しかしながら、乗り出し価格500万円の新車を購入しておきながら、家族のために使う貴重なお金を節約するのはまさに本末転倒なわけです。その新車を購入しなければ毎月8万円もの大金を違うことに使うことができたのです。
こういった事実に直面すると国内消費が冷え込んでいる理由も段々とわかってきます。
情報社会に生きる我々の消費行動は昔に比べて随分と賢くなっているのです。
情報社会を生きる我々は、ステータスや見栄といった虚像に振り回されて自動車産業からこっそりと搾取されることに気付いているのです。
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