ポストコロナを見据えた投資戦略-金と株とインフレ率との関係

こんにちは、庶民派アラフォー弁理士です。今回の記事は、ポストコロナを見据えた投資戦略についての簡単な記事となります。

今回のコロナ危機を通じて多くの人々が職を失ったり、事業の継続が困難になったりと、経済的にも大変な状況となっております。その一方で、米国株価は実体経済の壊滅的状況とは裏腹に上昇基調となっています。

この状況は、FRBの無制限の量的緩和や米国政府による救済措置の影響により市場に大量のマネーが注入されているためです。日本でも日銀が無制限の国債購入を2日前に決定しました。現在の株高は法定通貨の価値毀損(つまり、インフレ)に起因するものであると考えられます。

現場で必死に働く我々労働者が困窮を極める中で、資産家の富は政府の政策を通じて増え続けているわけです。今回のコロナショックは、我々労働者階級を徹底的に痛めつける一方で、資産家の富には大きなダメージを与えていません。

コロナ危機が世界的なリセッションをもたらすことで、格差社会を是正すると思いきや、格差は広がるばかりとなります。

私も生活費を稼ぐ一労働者です。一方で、家族を路頭に迷わさないためにも地道に貯めたなけなしのお金を少しでも運用したいと考えています。

というわけで今回はポストコロナを踏まえた投資戦略、特に、金、株、インフレ率との関係についてご紹介します。

目次

金価格と米国株との関係

以下に、金価格と米国株価指数S&P500の価格の長期的な推移をログスケールで示します。チャート中、赤色がS&P500の推移を示しています。

S&P500と金価格の推移(ログスケール) 1971-2020 TradingViewより引用

また、S&P500と金価格の長期的な推移をパーセンテージ且つリニアスケールで示したチャートが以下となります。赤色がS&P500の推移を示しています。

S&P500と金価格の推移(リニアスケール) 1971-2020 TradingViewより引用

上記から金価格と株価には負の相関があることに気付きます。

  • 1970年代:金価格が大暴騰する一方で、株価は低迷
  • 1980-90年代:金価格は低迷する一方で、株価は大躍進
  • 2000年代:金価格が大暴騰する一方で、株価は低迷
  • 2010年代:金価格は低迷する一方で、株価は大躍進

1970年から現在までの50年間で、金価格は49倍に上昇する一方、株価は32倍に上昇しているのです。金は配当を生まないため、配当再投資を考えた場合には株価の上昇率の方が大きいかと思いますが、株価と逆相関の関係にある金をポートフォリオに加えることは安定性の観点から妥当性がありそうです。

今回の各国の金融緩和や財政出動を見ると、2020年代はインフレ率の上昇と共に金価格が上昇することが想定されます。

米国のインフレ率の推移

次に、米国におけるインフレ率の推移(超長期及び30年)を以下に示します。

1914年-2020年までのインフレ率の推移 macrotrendsから引用
1990年-2020年のインフレ率の推移 macrotrendsより引用

上記チャートより米国では1970年代におけるインフレ率(>10%)が高く、金価格が大暴騰となる一方で、株価は低迷しました。一方で、インフレ率が低い2010年代には金価格が低迷する一方で、株価は大躍進しました。

インフレとは法定通貨の価値が商品価値に対して相対的に下落する現象となりますので、インフレ時において金価格が上昇することは容易に想像できるかと思います。その反対にデフレ時においては金価格は下落します。

また、インフレ時においては、株の益回りがインフレ率よりも上昇します。すると、益利回りの上昇=PERの下落となり(PER=100%/益利回り%)、株価(=PER×EPS)が下落します。

特に、インフレ率の上昇を商品やサービス価格に転嫁できない企業の場合、EPSが上昇しませんので、株価はインフレ率の上昇分だけ下落してしまうのです。反対に、インフレに伴い商品やサービス価格を値上げできる企業の場合、EPSが上昇しますので、株価の下落が緩和されます。

即ち、Δ株価=ΔPER×ΔEPSとなりますので、インフレ率の上昇以上に利益が上昇する企業の場合、その企業の株価は上昇するのです。

金ETF

さて、インフレ時において金を購入することを提案しましたが、地金や金貨を買うと購入手数料、バーチャージ、売買スプレッド、保管費用が問題となってきます。

勿論、1kg以上の地金を購入することでこれらの手数料を抑えることも一手ですが、地金1kgで600万円以上の購入費用がかかるのです。

ですので、ポートフォリオに金を加える場合、金ETFを購入するのが無難かもしれません。私は、現在金ETFの代表格であるGLD(SPDR Gold Shares)を保有しております。

金価格とGLD価格の推移 TradingView引用

上記チャートは、金ETFのGLDの価格と金価格の推移となります。赤色がGLDの推移を示しています。

GLDの価格は金価格に十分に連動していることが確認できます。一方で、GLDには信託報酬費用が年間0.4%発生しますので、長期的にはGLDのパフォーマンスは金価格よりも劣後する点に留意が必要です。

このため、長期間に亘って金を保有するならば、1kg以上の地金を購入した方が一番手数料が安くなるものと考えます。

まとめ

2020年代はインフレ率が上昇する(法定通貨の価値が下落する)時代であると私は考えています。中央銀行は、現在まで超低金利政策を通じて大量のマネーを市場に供給していますが(所謂、チープマネー政策)、このような状況がインフレ率の上昇を招くことは自明となります。

と考えると、インフレ率の上昇を商品サービス価格に転嫁できる企業の株価を保有する、若しくは金やビットコインを保有するのが一つの最適解であると考えています。

前者の企業としては、市場占有率が高く、強い競争力を有する企業となります。特に、ブルーオーシャン市場において強大なブランド力や基本特許を有する企業となります。例えば、アラインテクノロジー社等の市場占有率が高いヘルスケア企業の株価は比較的安全であるような気もします。

一方で、インフレ時において低価格のみで勝負する企業の株価は大きく下落することが予想されるのです。

最後に、インフレ時において株や債券の価値が下落することを考えると、
今後のポートフォリオとしては、株35%、金・ビットコイン30%、債券35%の比率が一つの目安となると自分は考えています。

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