こんばんは、庶民派アラフォー弁理士です。
本日の記事は2000年以降に我々労働者が如何に貧しくなったのかを世界通貨である金を基軸にデータで示していきます。
ご存知の通り、金は人類の歴史上通貨として使用されてきました。例えば、江戸時代に普及した小判なんかは金貨(金と銀との合金)だったりします。また、19世紀には金と法定通貨との交換を約束した金本位制が採用されてきました。
第二次世界大戦後になると、ドルを基軸とする固定為替相場制であるブレトンウッズ体制が採用され、世界の法定通貨の中で唯一ドルが金と交換可能な基軸通貨となりました。そのときの交換レートは1オンス(31g)=35ドルでした。
その後、1971年のニクソンショックを経て、法定通貨(Fiat currency)は金の裏付けがないFAKE MONEYとなるのです。つまり、中央銀行が紙幣を大量に印刷することで自由にお金を市場に供給できるようになったわけです。
具体的には、中央銀行が国債や社債を市場から購入することでバランスシートを拡大させているのですね。中央銀行のバランスシートの負債に相当する発行通貨に対しては金と交換する義務は全くないわけですので、中央銀行は自由に通貨を印刷できるわけです。
これは巧妙に仕組まれたトラップになります。我々は、所得税や消費税に加えて、マネーの大量供給に伴うインフレ税を知らぬ間に支払い続けているわけです。
ニクソンショック以降は、円やドル等の法定通貨は、何ら価値の裏付けがない価値交換媒体に過ぎなくなったのですね。お金自体に価値がないとはこういうことです。
このように、我々日本人労働者の平均年収(年労働対価)なんかも円で価値尺度を図るのではなく、金という世界的且つ絶対的な価値尺度で図ると、我々が最近感じる貧しさの正体が判明します。
以下は日本人労働者の平均年収の推移を示しています。
1970年以降の高度経済成長に伴い、我々労働者の平均年収は右肩上がりで1995年まで増え続けましたが、2000年以降の20年間では、平均年収は微減しています。ちなみに2020年度の平均年収は2019年と同じ420万円としています。
特に、2010年以降の10年間では平均年収は微増している一方で、我々の生活レベルは貧しくなる一方です。
一昔前には安物であったユニクロがいつの間にか中級ブランドとなり、しまむらやGUがプチプラとして支持を集めているといった現状もあります。
また、海外出張の度に現地物価の高さに驚愕することが多くなってきました。特に、ホテル代金や食事代の高さに唖然することが多くないでしょうか?
円という法定通貨では我々労働者が感じる絶対的な生活レベルの低下が見えてこないのです。アベノミクス以降、日銀は600兆円もの大量の円を市場に供給していますので相対的に円の価値は下落し続けているのです。一方で、FRBも大量のドルを市場に供給し続けているので、同じくドルの価値も相対的に下落しています。
では、世界通貨である金で我々労働者の年収の推移を調べてみたらどうでしょうか?
以下のグラフは日本人の平均年収で購入可能な金の量(g)の推移を示しています。
如何でしょうか?
例えば、2000年当時では我々の年間の労働対価として4546gの金を購入可能であった一方で、2020年の現在では我々の年労働対価ではたった717gの金しか購入ができないのです。
つまり、金ベースで現在の我々の年労働対価は2000年比で85%下落しているのです。ちなみに、現在の我々の年労働対価は1965年当時の年労働対価よりも低いのですね。
これが我々が閉塞感や貧しさを感じる根本的な理由となります。
戦後から2000年まで我々日本人の労働対価はうなぎ登りだったわけです。ところが、2000年以降の日本経済の停滞とBRICs等の新興国の台頭により、相対的に日本人労働者の労働対価が急速に低下しました。
一方で、世界的に人件費が高かった日本人労働者の収入がこの20年間で激減したため、経営者サイドは優秀な日本人を安く雇うことができるようになったのです。
つまり、日本では労働者が貧しくなり、人件費の負担が劇的に低下したため、起業がしやすくなったともいえるわけです。世界的にも真面目で優秀な人材を安く使えるわけです。しかも借入金は空前の低金利です。
世界的に見て日本が起業しやすい国であるのは、実はこうした背景(固定費の激減)があります。
しかもこの傾向は金価格の暴騰(換言すれば、法定通貨の価値下落)に伴い今後さらに拍車がかかるとみています。
おそらく今後数年の間には我々の金ベースでの労働対価は1950年レベルに落ちるとみています。
誰かの得は誰かの損なのです。一方、誰かの損は誰かの得なのです。
今日は救いようがない残酷な事実を述べるだけとします。