こんにちは、二か月以上ブログの更新をサボっていた庶民派アラフォー弁理士です。
ここ最近では仮想通貨市場のトレンドが完全に転換してしまい、ビットコイン価格は4月の高値64900ドルから29000ドル付近まで下落する場面がありました。
ビットコインの採掘報酬の三回目の半減期を発端とする四年周期のブル相場は今年4月で完全に終了したのでしょうか?はたまた、Plan B氏が提唱するストック対フロー(S2F)モデルに沿ってビットコイン価格は年末までに10万ドル以上に到達するのでしょうか?
答えは誰もわかりません。Glassnodeの分析結果などを日々読み込んでおりますが、ブル相場終焉やブル相場継続の両方の見方があり、なんとも言えないのが正直なところです。さらに、米国株(特に、ナスダック)のクラッシュが今年中にもあると筆者は予期していますので、全体的なリスク資産の割合を縮小している最中でもあります。
今回の記事では、仮想通貨のモバイルウォレットとその独自トークンについてのご紹介をします。
本記事の執筆は、先日のバイナンスローンチパッド(IEO: Initial Exchange Offering)でバイナンスに新たに上場したCoin98(シンボルC98)の上場価格の分析がきっかけとなります。
今回分析したモバイルウォレットは、SafePal、Trust Wallet、Exodus、Coin98の四つのウォレットとなります。これらのウォレットでは、ウォレットのガバナンスに紐付いた独自トークンが発行されています。
では早速各ウォレットとそのトークン価格について以下に簡単に紹介します。
SafePal (SFP)
最初にご紹介するのはTwitter上でも人気となっているSafePalです。
SafePalは、イーサリアムやバイナンススマートチェーン(BSC)にほぼ特化したDApps用ウォレットとなります。最近では、本ウォレットはイーサリアムのサイドチェーン(Layer 2)であるPolygonにも対応しています。
このウォレットの利点は以下三点となります。
- SafePalに特化したハードウェアウォレットの存在
- WHO(Wallet Holder Offering)の存在
- 各DeFi用アプリ(DApps)への接続が容易
SafePalは、今回紹介するウェレットの中では唯一独自のハードウェアウォレットを用意しています。ハードウェアウォレットに記憶された秘密鍵を示すQRコードをスマホのカメラで読み取ることで、秘密鍵漏洩のリスクを減らす仕組みになっています。
つまり、スマホには秘密鍵が保存されておらず、トランザクションのときだけ秘密鍵に関連付けられたQRコードがハードウェアウォレットのディスプレイに表示されます。スマホのカメラで当該QRコードを読み取ることでハードウェアウォレットからスマホに秘密鍵を一時的に取り出すことが可能となります(弁理士的には当該特徴を請求項で表現したいところです笑)。
勿論、トランザクションの制御には電子署名(秘密鍵によるハッシュの暗号化)が必要となりますので、秘密鍵をオフラインで管理することが非常に重要となります。
また、WHOといった取引所上場前のコインのエアードロップを実施している点も本ウォレットの特徴となります。過去にはTKO,OOE等の未上場コインのエアードロップが本ウォレットを通じて実施されました。WHO参加者は指定されたタスクを完了させることで未上場コインを無料で受け取ることができます。
さらに、各DeFi用アプリ(DApps)に容易に接続できる点も本ウォレットの特徴となります。ただ、DeFiの操作は集中力が必要となるので、スマホでの操作は正直疲れます。私は本ウォレットを通じてVenusやPancakeを利用していましたが、目を酷使するのでスマホでの操作は向いていないと感じました。
また、SafePalは1inchなどのDexアグリゲータには対応していないので、正直なところパソコン上での操作(MetamaskやWalletConnect)のほうが使いやすいかなと思いました。
次に、SafePalの独自トークンであるSFPの価格の推移は以下となります。
本チャートに示すように、バイナンスの上場時にはSFP価格は一時4ドル台まで急騰したものの、ビットコイン価格の下落につられて現在は0.83ドル付近まで価格が下落しています。
この理由は後程詳しく述べますが、簡単に言うと上場時の値付けがバブルであっただけで、トークン価格が過大評価されていたということです。
Trust Wallet TWT
次に、ご紹介するのはTrust Walletとなります。
このモバイルウォレットもイーサリアムやBSCに対応したDApps用ウォレットとなります。このウォレットの利点は以下三点となります。
- ステーキング(BNBやATOMなど)に対応
- WalletConnectが使用可能
- DAppsへの接続が容易
最初にこのウォレットの一番の利点はBNB等のステーキングが可能となっている点となります。TW StakingがBNBのバリデータとなっていますので、現時点でのBNBのステーキング報酬はAPR16.2%となっています。
次に、大きな利点はWalletConnectが利用可能となります。WalletConnectを利用することでパソコン上でDAppsを操作可能となる一方で、トランザクション実行用の電子署名をスマホから制御可能となります。
上記したように、DeFiでは大きな金額(数万ドル以上)を扱うことが多いため、一つ一つの操作には集中力が必要となります。操作を一度でも誤ると資金が最悪ロストするためです。なのでDApps操作はスマホよりもパソコン上で行うほうが良いと思うのです。WalletConnectはこの課題を解決するためのプロトコルであって、パソコン上でDAppsを利用できる一方で、秘密鍵をスマホ上で管理可能となります。
Metamaskでは自分のパソコンのブラウザ上で秘密鍵を管理する必要がありますが、WalletConnectであれば外出先の漫画喫茶のパソコン上でもDAppsの利用が可能となります(これも弁理士的には請求項を書きたくなる事案ですね笑)。
一方で、WallletConnectは大変便利なのですが、安全性を考えた場合には、秘密鍵はハードウェアウォレット上で管理するのがやはり理想となります。
また、Trust WalletでもSafePalと同様にDAppsへの接続が容易となります。ただ、上記したようにWalletConnectが使えるのでこの利点は大きくはないでしょう。Kavaを利用したいユーザはTrust Walletを利用するのが良いかと思います。
次にTrust Walletの独自トークンであるTWTの価格推移は以下となります。
上のチャートに示すように、TWTの現在価格はバイナンス上場時の価格付近である0.3ドルまで下落しています。
一方で、以下に示すようにSFPとの価格差はかなり縮小されてきています。上場時に過大評価されていたSFPの価格がTWTの価格に収束しているとも解釈可能です。
Exodos EXIT
次にご紹介するのはExodusとなります。
Exodusは最も好きなウォレットの一つとなります。Exodusにはデスクトップ版とスマホ版の二つがあり、両者は互いに同期可能となります。
Exodusの利点は以下三点となります。
- UI(ユーザインターフェース)が洗練されている
- デスクトップ版が利用可能
- ハードウェアウォレットTrezorとの連携が可能
Exodusの最大の特徴はその美しいUI画面と直感的な操作性に優れる点となります。特にデスクトップ版のExodusウォレットが使いやすく、ハードウェアウォレットTrezorとの連携が可能となりますので、仮想通貨をHODL(長期保有)する場合には向いているウォレットとなります。
また、Exodus上でATOMやALGO等のPoS(Proof of Stake)系通貨のステーキングが可能となります。一方で、ExodusではDAppsの利用が殆どできない点がデメリットとなります。DeFiをメインとするユーザはExodusではなく、Trust WalletやSafePalを利用するのが良いかと思います。
Exodusはどちらかというとビットコインやライトコイン等の通貨の金庫として利用するのが良いかと思います。特にデスクトップ版ウォレットはTrezorとの連携が可能となりますので、安心して使えるウォレットとなります。
また、最近のアップデートにおいてTRONチェーンのUSDTを保管できるようになりました。イーサリアムのガス代が高騰した年初の状況を踏まえると、これは朗報となります。
Exodosの独自トークンEXITはトークン化されたデジタル有価証券でもあります。Exodusは今年の5月にSTO(Security Token Offering)を実施して、自社の株式をブロックチェーン上のトークンとして投資家に販売しました。
私もSTOに興味はあったのですが、日本人は今回のSTOには参加できないとのことでした。
一方で、トークン化されたデジタル証券EXITは株式トークンの取引所tZEROを通じて一般投資家の間で取引可能になる予定だそうです。リンクの記事が参考となります。
現時点でEXITは市場で取引されていません。STOでの販売価格は27.42ドルとなります。
話は脱線しますが今回Exodusが採用したブロックチェーンであるアルゴランド(ALGO)は、株式トークン等に今後活用される有望なチェーンになる可能性を秘めています。
Coin98 C98
最後にCoin98をご紹介します。
Coin98はベトナム発のマルチチェーンに対応したウォレットとなり、現時点で23種類のチェーンに対応可能となります。特に、注目する点は、イーサリアムやBSCだけでなく、Polygon、Solana、Fantom、Cosmos、Kavaに対応可能な点は注目に値します。
また、WalletConnectの利用も可能となります。
一方で、UI画面はExodusのように洗練されてはおらず、アプリの動きがかなり重い印象があります。このようにウォレットの完成度は他のウォレットと比較すると低く、この点は今回のIEOを通じた資金調達によって改善されてくるのではないかと思います。
また、Coin98の独自トークンであるC98は2021/7/23に上場しました。
IEOでの売り出し価格は0.075ドルとなり、5000万枚の売り出しとなりました。本ブログ執筆時点でC98の価格は1.73ドルとなっており、売り出し価格から約23倍の暴騰となっております。
まとめ
今回の記事では、人気のある4つのモバイルウォレットとその独自トークンの価格について紹介してきました。
各トークンについて以下の表にまとめます。
トークン種類 | EXIT | SFP | TWT | C98 |
トークン価格USD | 27.42 | 0.83 | 0.32 | 1.73 |
循環供給量(億枚) | 0.027 | 1.08 | 2.5 | 1.85 |
最大供給量(億枚) | – | 5 | 10 | 10 |
時価総額(億USD) | 0.75 | 0.90 | 0.80 | 3.19 |
希薄化時価総額(億USD) | – | 4.48 | 3.19 | 17.25 |
特徴 | 洗練されたUIとデスクトップ版の存在(DApps利用は不可) | 独自のハードウェアウォレットの存在とWHO | ステーキング機能とWallet Connect利用可能 | マルチチェーン対応のDapps用ウォレット |
さらに、C98のIEO売り出し価格0.075ドルの場合における各トークンの時価総額は以下となります。
上記より、C98のIEO売り出し価格0.075ドルの場合では、C98の時価総額が0.14億ドルとなり、他のトークンの時価総額よりも安いことがわかります。このことからC98の上場初値は売出価格を割ることはないと私は確信しました。
その一方、C98の現在価格1.73ドルの場合における各トークンの時価総額は以下となります。
上記より、C98の現在価格1.73ドルは時価総額の観点より他のトークンと比較して些か過大評価されているようにも思われます。他のトークンの時価総額は凡そ0.75憶ドル~0.9億ドルの範囲内なのです。勿論、Coin98の今後の開発動向次第では現在の時価総額が正当化される可能性はあるとは思います。
TVL/時価総額やユーザ数を参考にした上でDeFi銘柄のバリュエーションが評価されるように、ウォレットトークンの時価総額では、他のトークンの時価総額やユーザ数を考慮した上でバリュエーションを評価するのが良いのかもしれません。この場合、トークンの時価総額が正当化できる他の要因も熟考する必要は勿論あるかとは思います。
今回の記事はここまでとします。
最近、仮想通貨関連の記事が多いため次回は米国株やゴールドの動向をアップデートできたらと思います。