こんばんは。庶民派アラフォー弁理士です。
世界景気の減速に伴い株価は暴落すると囁かれていますが、そんな懸念とは裏腹に米国株式市場の最近の上昇ぶりには目を見張るものがあります。特に、DVYやVYM等の高配当株系ETFの上昇が際立っているように思われます。
やはり、相場は悲観の中で生まれ懐疑の中に育つものです。
上昇相場の中で楽観論が出現したときがいよいよ手仕舞いのタイミングかと個人的には思っていますが、タイミングを見計らった売買は運の要素も大きいため、基本的には積立投資を継続することが肝要かと個人的には思います。
今回の記事では、絶賛下落中の不人気銘柄であるタバコ銘柄の配当利回りについてご紹介したいと思います。
特に、今回の記事では、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)、フィリップモリス(PM)、日本たばこ産業(JT)の三銘柄の配当利回りに注目したいと思います。
尚、これらの三銘柄についてはNISAを利用することで配当金課税(国内課税と現地課税)がゼロとなります。JTについては国内銘柄となりますので当然となりますが、BTIとPMについては現地課税がありません(例えば、通常の米国株ですと、米国課税分として10%が課税されます)。
また、タバコ製造会社は、多くの人々から忌み嫌われている一方で、多額の研究開発費を必要としないため、極めて高い営業利益率を誇ります。また、これらの会社は、利益の大半を配当金や自社株買いにより株主に還元してくれるのです。
高配当銘柄であるタバコ銘柄は、ジェレミー・シーゲル教授の名著である「株式投資の未来」でも紹介されているように、配当再投資によって長期的には大きな利益を得ることができることが実証されています。タバコ離れが顕著な状況を考えると今後はどうなるか不透明ですが・・・(そもそもこの不透明な状況が現在の株価下落の要因となっているのです)。
また、各タバコ会社は、商品の主軸を伝統的な紙巻たばこから加熱式たばこや電子たばこに徐々に移行しようとしています。
最近は、フィリップモリスとアルトリアとの合併話の協議が話題となりました。
過去を振り返ると、アルトリアとフィリップモリスは元々は一つの会社だったのですが、米国でのタバコ関連訴訟が当時頻発していたため、米国市場を管轄するアルトリアと、米国以外の世界市場を管轄するフィリップモリスに2008年にそれぞれ事業分割されました。今回の両社の合併話には、タバコ離れ等の最近のタバコ業界の不透明な状況が背景にあります。
フィリップモリス
トップバッターは業界第1位のフィリップモリスについての配当金の推移と配当利回りの推移をご紹介します。同社の主なブランドはマルボロやラークとなります。ちなみに今回は同社と将来的に合併するアルトリアについてはご紹介しません。
ここ数年の同社の増配率は低下しているものの、2010年の配当金2.44ドルから比べると2019年の予想配当金は4.68ドル(92%の増加)となっている点に注目です。また、同社の配当利回りのレンジは3%-5%である一方で、現在の配当利回りは6.5%となっています。
2019年9月30日の現時点においてフィリップモリス社とアルトリア社との合併話は流れてしまいました。これはJUULラボが提供する電子タバコの危険性が大問題になっているためです。
配当利回り8%超えのアルトリアについての記事もご参考ください。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
次は業界第2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコについての配当金の推移と配当利回りの推移をご紹介します。同社の主なブランドはラッキーストライクやクールとなります。
- 株価:36.3ドル(2019/9/16現在)
- 予想EPS:3.33ドル
- 予想PER:10.9倍
- 予想配当利回り:7.4%
同社のドルベースでの増配率はかなり波があります。ポンド/ドルの為替レートも影響しますが、PMとは異なり同社は連続増配銘柄とはいえません。
一方で、2010年の配当金1.61ドルから比べると2019年の予想配当金は2.7ドル(68%の増加)となっています。また、現在の同社の配当利回りが7%を超えている点も注目に値します。
日本たばこ産業
次は業界第3位のJTについての配当金の推移と配当利回りの推移をご紹介します。同社の主なブランドはメビウス、セブンスターとなります。
- 株価:2350円(2019/9/16現在)
- 予想EPS:203円
- 予想PER:11.5倍
- 予想配当利回り:6.5%
JTの配当金の増配率は2011年から驚異的に増加していた一方で、今年の増配率は僅か2.7%となります。
また、2016年までは同社の配当利回りは3%付近で推移していたものの、2017年以降の同社の株価の下落に伴い配当利回りが急激に上昇しております。現在の同社の配当利回りは6.5%となり、PMやBTIと比較しても遜色のない配当利回りとなっております。
まとめ
今回はタバコ銘柄の配当金と配当利回りの推移について簡単にご紹介させて頂きました。
ここ数年のタバコ銘柄の株価の下落に伴い配当利回りが急激に上昇していることが理解できます。
確かにタバコ離れによる業界の将来的な衰退が懸念事項となり、これらの銘柄を買いにくい状況もあります。しかしながら、タバコ銘柄の最大の魅力は営業利益率の高さと積極的な株主還元にあります。
現在の株価は十分に割安であるように思われるため、今後の動向に注目したいところです。
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