こんばんは、庶民派アラフォー弁理士です。
新型肺炎の世界的パンデミックに伴い、世界的に株式市場がパニックに陥っていますが、その中でも今週のJ-REITの大暴落には驚きました。
特に、東証REIT指数ETF(1343)は2月初旬に高値2386円から3/19には1238円まで凡そ50%近くの大暴落となりました。ちなみに、米国REIT指数に連動するETFであるIYRも直近高値から37%程度下落しています。
REITと言えば、現物の不動産投資に代わって、株式投資のように対象の投資不動産を共同で所有することで賃料を分配金として受け取る仕組みとなります。ですので、REITに投資する投資家の属性は、どちらかと言えばミドルリスク・ミドルリターンを嗜好する方が多いように思われます。
しかしながら、実際にはREITの投資リスクは想像よりもかなり大きく、REITの暴落率は日経平均指数の暴落率を凌駕するものとなってしまいました。今回のREIT市場の暴落はまさに世界金融危機(リーマンショック)を彷彿させるものとなります。
例えば、REIT銘柄の代表銘柄の一つの野村不動産マスターファンド投資法人(3269)では、一口価格は直近高値20万円から78000円程度まで実に61%の大暴落となりました。
当銘柄の直近の分配金利回りは8.42%となり、NAV倍率(※PBRみたいなもの)は0.49倍となっています。ちなみに暴落前の本銘柄の分配金利回りは3%前半だったのです…。
今回の暴落が相当深刻(見方を変えれば、相当な投資機会)であることは理解できるでしょう。
また、REIT銘柄のうち首都圏マンションの運用に特化しているアドバンス・レジデンス投資法人の価格についても例外なく暴落しています。 一口価格は、直近高値の35万円から現在21万円程度まで40%程度暴落しているのです。
当銘柄の暴落前の分配金利回りは3%程度でしたが、今回の暴落により利回りは5.4%程度まで上昇しています。
ところで、現在の首都圏の新築マンションの利回りは上記と同様に3%程度となっています。
例えば、広さ72平米の新築マンションの販売価格が7000万円である場合、当該物件の坪単価は320万円となります。また、この物件の月額賃料が20万円だとすると、年間賃料は240万円となります。
この場合、上記物件の平均利回りは、240万円/7000万円×100%=3.4%となります。
現在の首都圏の新築マンション価格の相場観と大体一致していないでしょうか?
不動産市況の先行指標であるREITの暴落によって、今後(おそらく半年後)、新築マンション価格の大暴落が始まることが予想されるのです。
新築マンションの賃料利回りが3.4%から5.4%まで低下する場合、月額賃料が上がるのではなく、物件価格が低下すると考えるのが自然となります。上記の例で言えば、年間賃料240万円で賃料利回りが5.4%まで上昇するとなると、物件価格は以下式で算出されます。
240万円×100%/5.4%=4444万円
つまり、利回りベースで理論価格を算出した場合には、現在7000万円程度の新築マンション価格は4500万円程度まで下落する可能性があるわけです(デベが販売価格を下げなくても価値はその程度まで下落します)。実に、37%程度のマンションの実質価値の暴落が今後想定されるのです。
また、単純に3.4/5.4×100%で下落率を算出することも可能です。
まとめ
東証REITの大暴落によりREITへの投資は大分魅力的にはなってきました。REIT指数の平均利回りは現時点で6-7%の間となっています。
『落ちるナイフは掴むな』の格言に従えば、株式市場の下落に伴いREIT価格は暫く調整することが想定されます。その一方で、『皆が恐れるときに貪欲になれ』の格言に従えば、REITへの投資は長期的視点に立てばチャンスでもあるのです。
また、今回のREITの暴落により保有不動産の価値が毀損されることから、自己のバランスシートが大きく変化することにも留意が必要です。最近マンションを購入された方は、純資産がマイナス(債務超過)となっている可能性があるのです。
さらに、REIT指数の下落が実際の不動産市場に反映されるまでには時間的差があることから、今のうちにマイホームを売却することも考えられます。しかし、税金、手数料、生活環境の変化を考慮すればこれは現実的ではないのかもしれません。
また、今回の新型コロナによるダメージを一番受けているのが、下落相場に強いと言われる高配当銘柄である点が実に興味深いところです。
石油、金融、不動産セクターが大きく下落する一方で、バリエーションが割高なハイテクやヘルスケアセクターの下落率が小さいのですね。実に皮肉に満ちた相場展開です。
それでは本日の記事はここまでです。